2015年 面白かった映画 日本&アジア映画編

今年のエントリーも分類上の都合で“2014年に鑑賞した作品”ではなく、“2014年に公開した作品”というリストアップの仕方をさせて頂きました。
全体の出来が微妙でも、たったひとつだとしてもとんでもなく良い部分がある映画はやはり好きにならずにはいられず、そういった作品も含めています。
2015年6月14日にシネマート六本木というアジア映画にとってはとても大きな存在のミニシアターが閉館し、更には香港映画を定期的に上映してくれていた新宿武蔵野館が2016年1月30日から9月末日(予定)まで改装工事をする為、今年のアジア映画、というか韓国映画以外のアジア映画の一般公開は一体どうなるのでしょうか。顔が暗くなるばかりなのですが。



【2015年 面白かった映画 日本&アジア映画編】

『王の涙 -イ・サンの決断-』

『アゲイン 28年目の甲子園』
※【この中井貴一がすごい2015】第1位確定!
中井貴一が地に足が着いた現代劇での役、しかも肩の力を抜いた自然な演技をした結果、娘の部屋での寒い絶妙な間からギバちゃんとの掴み合いから何から何までが貴一無双。
麻雀牌の全てが貴一、あがりの全ても貴一という素晴らしさ。
余りの中井貴一無双状態で呆然……! 当然、褒め言葉でございますよ!
最近では珍しくフィルム撮影。ちょっとした台詞が次の台詞やシーンでさりげなく使われていたり、様々な立場の人の心情をそれぞれ描く心配りも良かった分、たったひとつのそのカットさえ無ければ……。絵的には欲しくなるのも理解出来るのだけど。

『激戦 ハート・オブ・ファイト』

『KANO 1931 海の向こうの甲子園』
※最初のうちののんびりムード(複数回、画面の左右に流れる大沢たかお含む)にどうなる事やら……と少々はらはらしたものの、気付くと自分が完全に甲子園観戦をして試合展開に手に汗握り、心の中でKANO団扇を振って応援していた! そんな映画鑑賞をしていることすら忘れてしまう映画。
しかも台湾側からこの内容を描いてくれたのも泣けるのであった。
映画本編に対してではないので余談になりますが、気になった事を追記しておきます。
ざっくりと「親日が云々~」と言っている人に対しては「呑気だねぇ」と適当にスルー出来たのですが、差別問題(広義)に関心がありつつも、自分の専門外が故にその事に対して中途半端に知識が「無い」と例えば「日本に植民地支配され、こんな美談にしてしまったのはおぞましい」等という、ぞわっとする発言を『KANO』に関しては幾つか目にしてしまった為、何故にそういう差別に絡めた見方しか出来ないのか?という、逆の問題が発生していたのでした。
逆に韓国に詳しい方の意見では「韓国では絶対に作れないタイプの映画で羨ましい」とも。
確かに歴史的にはその通りですし、我々以上に台湾の人達はその事実をよく解っているはずです。
この映画はそのことそのものを描いているのではなく、一個人と野球部の話を描いているので、そこを混同するのは違うと思うのです。
しかも『KANO』の監督は台湾原住民で、更に言うとプロデューサーは今までにどんな作品をどのような視点で撮っていた人なのか、そして嘉農の近藤監督は様々な部員達に対してどう接していたのか、というのは調べるとすぐに解る事なのに、自分の価値観で直結してしまう様子は怖いと思ったのでした。
それこそ『KANO』を全く同じ内容で日本の企画で日本人監督が撮っていたとしたら綺麗事のみを並べた、それはそれは気色の悪い映画となっていたはずでしょうけど、これはあくまでも台湾が作った作品で、統治下という時代にあった野球に打ち込む人々の青春映画というのが解らない人もいた様で可哀想だなぁ、と横目で見て感じたことを言葉足らずの部分もありますが少々。

『ミルカ』

『クリミナル・アフェア 魔警』
※つくづく感じたのは林超賢(ダンテ・ラム)及びダンテ組の1人とも言うべき脚本家の吳煒倫(ジャック・ン)は所謂ビジュアルな人々とは違う、台詞による説明は最低限に削ぎ落とし、映像できっちり物語るいう素晴らしい作品を作り上げる人達なのだと感心するしかない。ジョニー・トーとワイ・ガーファイもそうですが、監督と脚本家の間でどのような意思疎通がなされているのだ?と興味津々のダンテ組なのだった。
物作りをする人はこの職人技を共に学ぶべき。
なので、こういった作品の鑑賞が出来て本当に至福。
衝撃の映像の数々からチルアウトしてみたら、後からじわじわと凄さに圧倒される、それが『魔警』の魅力。
陥りがちな説明過多とは真逆の整理しきった作品ってすごい、と思わせる。
例えば「過去と現在」「心理描写と現実」などを描写していても同じ画面処理がずっと続き、ある程度観てようやく識別出来る作品が実は結構あるので、そういった視覚的な混乱を一瞬で識別させ、見事に回避しているのはかなり親切で手際の良さが光るダンテ監督。
しかもこの作品の場合、単なる心情や過去の描写というよりも精神的な部分に関する映像なので、この表現は的確なのではと。
病み監督や経験のある監督がこの作品のような描写を撮ると観ているこちらの具合も悪くなるのですが、それが無かったので魔警は凄く健康的なモダンホラーとサイコスリラーの合わせ技でスゲぇ!と思ったのですが、人それぞれ受け止め方が違って更に面白い事も判明していたり。
とはいえ、とても歪な作品ではあるのだが。歪な作品は美しい。
『クリミナル・アフェア 魔警』の編集はかの名監督、譚家明(パトリック・タム)によるもの。
久し振りに撮った『父子』(日本ではTIFF上映のみ)が震えるような大傑作(でもアーロンはクズ父親!)だったので、これを機に日本語字幕での上映、せめてソフト化にして頂きたい。

『スペシャルID 特殊身分』
いやぁ……。あれだけのトラブルでよく仕上がったなぁ、と感心する事態が撮影時、そしてその後も起き続けていた本作。
アクションは極上品、話はその合間に挟んでる程度なのですが、心情表現や会話やよりもボディコミュニケーションが豊か過ぎる作品なので、そこが面白いほどに味わえます。
昔馴染みのアンディ・オンと「わぁー♪」と再開して懐かしむのも束の間、お戯れは組み合いから始まるという徹底さが潔いのです。
闘ってる真っ最中に財布が飛び出て吹っ飛ぶという、無駄な程にリアルを追求したシーンがあるのですが、財布と共に何かがぴらり、と飛んでいると思い再確認をしたら、なんと利是封(いわゆるお年玉袋)で、芸が細か過ぎ!と、声にならない笑いをしてしまったのでした。
こういう比較は本来私の意に反するとはいえ言いたい事が。『特殊身份』のスゴさのひとつを挙げると、肝心のMMAに纏わるシーンが正直ちょっともにょった『激戰』(ドラマは本当に最高)よりも遥かにMMAの試合でありそうな実践的でリアルなファイトだったという事。しかも共にアンディ・オンが相手なので違いがね……。

『女神は二度微笑む』

『幕が上がる』
※平田オリザさんの原作というのも良かったのだろうけど、脚本家の喜安さんって今時の子達を使って等身大の台詞で語らせる脚本が本当に上手かったのですね。
感情豊かな高校生が語りそうな少々臭い台詞の取り込み方も上手く、後半に向けての二重の意味合いが誰にでも解りやすく描かれてるのも良いなぁ。

『ゴッド・ギャンブラー -レジェンド-』
※『グランド・マスター』で馬三を演じ、香港電影金像奬で助演男優賞を獲得した張晉(マックス・チャン)がゆるふわ王晶映画の『賭城風雲』では神経質そうな真顔キャラでアクション淡々とこなしているので、役者に対し、こういう振り幅の広さこそが昔ながらの香港映画の楽しさでもあり。時にはこういうのも観たいのよ……と気付かせてくれた映画でした。
2014年の旧正月にマカオでべろべろに酔ったゴキゲンな状態で観たので、その場で起きた事のみしか把握出来ず、広東語も中文字幕も目の前を通過してしまった為に幾つかあった不明箇所の答え合わせをした結果、不明だった箇所も日本語字幕で観ても不明のままで、何ひとつ理解が間違ってなかった! 恭喜發財!
でもこれでこそ王晶(バリー・ウォン)の通常運行で安心でもあったり。
そしてユンファ兄が広東語で話し、満面の笑みで歌を歌ったりするだけで本当におめでたい旧正月映画となったのでした。
大陸の時代劇とかもういいので、老後の楽しみでコメディにゆるゆると帰って来て欲しい……。
そんな姿を観る事が出来ただけでも幸せな作品。
初恋の相手を演じた肥媽瑪利亞(マリア・コルデロ)がユンファ兄の背後からぬっと登場する茶樓(飲茶の店)の『龍華茶樓』。マカオで『賭城風雲』を観た日、偶然ここで朝飲茶をしていたのでした。それも良い個人的な想い出。
龍華茶樓

『全力スマッシュ』

『唐山大地震』
※日本公開の直前に311の震災が起こり、日本では4年間お蔵入りのままだった作品。
冒頭の1976年の大地震が大スペクタルな特撮で『戦場のレクイエム』を彷彿とさせ、『戦場のレクイエム』以外で初めて馮小剛(フォン・シャオガン)を面白いと思ったのですが、大地震の悲惨さとエンタメ性と国策映画が三つ巴戦となる、観ている側の気持ちの置き所が相当カオスな状態となった珍作ともいえる作品。
しかもメリハリの効きまくったエンタメの国策映画という融合の妙で、面白さが悲劇を上回ってしまい、15分から20分起きにそれらがババーン!と登場する為に、悲劇的な内容なのにも関わらず、中盤からは「待ってました!」と掛け声をかけたくなる状態に。
更には人民解放軍も建物も土地も慰霊碑も全てのスケールがデカい!というのがビジュアルで確認出来る面白さ。
……などとあれこれ書きましたが、地震の悲惨さエグさこそ冒頭でがっつり描きまくっていますが、それ以外はその後の家族の運命を長年に渡って描いた作品。
その本質の部分を汲み取ってお蔵入りさせずに公開したのは良かったのではないかと想います。
被害に遭った地域の今の姿もきっちり写している作品なのです。

『恐怖分子』
※久々の鑑賞ですが、前に鑑賞した時よりも更に刺激的で圧倒される映像の数々。
どこを切り取っても画面作りが良く、センター合わせの構図なのに左右で動と静、密と疎などという対照的な物を一度に写しており、削ぎ落としまくった台詞なのに伝達する力強さにしびれまくりった至福のひと時でした。
登場人物が着ている「何故か背中に大きなパッチポケットが付いたシャツ」を見て「こ、これが80年代ファッションなのよ……!」と、変なもぞもぞ感まで味わっていたり。でも当時のファッションとしては結構なおしゃれだったのです……という余談も付け加えておきます。

『ソロモンの偽証 前編・事件』
※これは本当に良かった、と思った2015年の大傑作邦画。
さすがに役者の配役はバッチリだし、何よりも現実に起こりうるあらゆる嫌な事が見事に描かれていたのが秀逸。
それをどう覆すのかが後編。
そしてとにかくマツコちゃんが抜群に良過ぎて彼女は一体何者なのかと! そして不憫……。

『ソロモンの偽証 後編・裁判』
※現実に起こり得る生々しく嫌な事の数珠繋ぎだった前編を後編でどう転じさせるのかが最大の見所だったのですが、見事に言わねばならない事は劇中できっちりと言い、そして登場する多くの人物をそれぞれ丁寧に掘り下げて描いていた。
大人は勿論の事、中高生という同世代にこそ観て欲しい。とにかく松子ちゃんがね……なんて最後の最後まで良いキャラクターだったのでしょうか!
事件という謎を描く風呂敷を広げるのとは違い、紐を解いていく裁判というのは地味に感じてしまうのは仕方のない事なので、未見の方には前後編をぶっ続けで鑑賞して頂きたいです。
中学生ぐらいの子達が自分たちなりに一生懸命考え、それをその世代の口調で語らせている加減が本当に上手い脚本。
前編はいる!こういう子いる!という松子ちゃんのキャラ全開の加減が私の心を掴んで離さなかったのですが、後編では松子ちゃんでボロ泣きでしたよ。なんて良い子に育ったのでしょう……。
あと市川実和子ちゃんがたった少しの出演なのにやはり最高過ぎるので、彼女の存在も見所のひとつ。

『海にかかる霧』
※家父長制の話はよくされていたようで、確かにその通りなのですが、実はこの映画、SFホラーの構造や演出とも同じでもあるのです。船という名の密室物の恐怖描写の巧みさが存分に堪能出来ます。

『おばあちゃんの夢中恋人(阿嬤的夢中情人)』
※北村豊晴監督作の登場人物は皆、愛嬌満載。コテコテの笑いとリアクションと共に泣かせてくれる。
今や日本では殆ど無くなった人情物の原点回帰を台湾映画で見た気が。
嘗て盛んだった台湾語映画への敬愛が全編に渡り楽しく愛おしく描かれ、最後に解る仕掛けも嬉しい。

『クライム・キーパー 香港捜査官』
※この作品、ドニー先生がアクションシーン毎に結構ドラゴンを降ろしてるので面白いのですよ。
多分、最後に狂気&ドラゴンが見え隠れしたのは『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』。
初期ドニー先生作品ではこの様にドラゴン降ろしを見る事が出来たのです。
それにしてもなによりもスゴいのは香港・九龍城區にあった今や無き啟德機場(カイタック空港)での飛行機のフライトがビルの屋上でのラストバトルの背後で至近距離でされていること。
このビジュアルショック系アクション映像は今の香港映画では撮れないので、それだけでもかなりの貴重映像。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー』
『神の一手』

『ザ・ヴェンジェンス』
※余りに凄くて最高過ぎて終始悶絶しつつ鑑賞。
身の回りにある物を使ってアクションをする最先端作品。ソムタム! ガイヤーン!
タイ映画に起こりがちなスロースターターも無く、初っ端からフルスロットル。ステゴロで闘ったらタイ人が最強というのを久々に思い知った素晴らしい作品。
シネマカリテの端から端までゴロゴロ何往復もした気分になりながら鑑賞したのでした。
ピタゴラ大惨事のスイッチを入れる素敵キャラの存在とか、普通ならそこで終わる爆破がまだまだ続くなど、見所しかないどころかインフレを起こしているのです。
ストーリーそのものがいきなり珍妙展開云々という事ではなく、衝撃的なシーンの発生により次のアクションシーンが頭に入らないというとんでもない事態が『ザ・ヴェンジェンス』には数回起きております。そんな映画です。
ものっすごいシンプルな話なのに、ここまで楽しめるのは今時驚異的。
こんな大傑作アクションが遺作となってしまったパンナー・リットグライ監督が今や亡き人となってしまったことが本当に悔やまれます。

『国際市場で逢いましょう』

『最後まで行く』
※次々と転がっていく展開が本当に面白い作品で観ていて息をも吐かせぬハイテンション。
やはり2時間以内の韓国映画は無駄を削りつつも要素をギュッと詰めているので傑作率がやたらと高いと思います。
極力削っていく作業をしないとこんなテンポと展開にはならないでしょうし。
むしろ削っていく作業って難しいんですよね。

『ドラゴン危機一発’97』
※シネマート六本木の『ドラゴン危機一発’97』の上映はとても綺麗なリマスターで、ドニー先生の雄っぱいも良い色で私は大満足でした……という話ではなく、多分マスターはアメリカ版から起こした物。
題&クレジットが英語で「!?」となりましたが、それ以外は普通に広東語。画像はオリジナル。
『ドラゴン危機一発’97』のリマスター版、もしかしたらリマスターに使える/出来る素材が英語クレジット版しかなかったのかも……という予想をしているのですが。
権利とかの問題もありますし、真相は闇の中……。
スクリーンで観た『ドラゴン危機一発'97』は谷垣さんが何回となく倒れ、何回となく生き返っておりました。
そして綺麗な画像をスクリーンで観ると結構格好いいカメラアングルだというのにも気付かされたのでした。
初日トークショーに行かれた方の御報告によると、谷垣健治さんは100カット以上出てるんじゃないかとのことでした。
同じシーンでも3回ぐらい死んでいるのだとか。
DVDで繰り返し観ているにも関わらず、観れば観る程、しかもリマスターした綺麗な状態でスクリーンで観ると今迄以上に「ドニー先生……お願いなので雄っぱいを隠して!」と頬を赤らめてしまう私。
しかもリマスターで更に綺麗になった雄っぱいですよ。私はどうしたら!
雄っぱいを隠して欲しいそのシーンの直前では、黃子華が着てるランニングを捲り上げているのですが、何故に彼までも乳がぷりん♡と丸出しになる程に捲り上げているのかという。
ドニー先生も子華もいっそのこと丸々脱いでくれていた方が何も思わないというのに! これがチラリズムの行き過ぎた結果か……。風でチラチラ隠れたり見えたり、そして走ると揺れる雄っぱいでもう私は……。
現代の進化したテクノロジーは怖い、という結論がここに。

『夜に逃れて(夜奔)』

『あなたなしでは生きていけない(不能没有你)』
※とても良い作品なのですが、感想を軽く検索してみた所、殆どの人がしんみり、じんわりと言っており、私の感想とは真逆に捉えている様で考え込んでしまった。こんないやな映画なのに!
ラスト寸前の台詞で語られる事を好意的に捉えられるのはどうなの?と。
故に敢えて何とは語らず観客に委ねる最後だと思うのですが。例えば途中で高雄から台北へ行くのにあの移動方法は台湾という土地を知っていると、それを想像するだけでお腹がものすごく痛くなる辛さや酷さなのですが。
……という事だけはとりあえず言っておきます。

『共犯』
※よくぞこんな子達を見つけてきたなぁという、思春期の子達の存在が非常に印象的な台湾映画。
ほんのちょっとだけ『メイド・イン・ホンコン』的でもあり。
学校の裏が林のような所になっており、その奥には沼があるという非常に美しく謎めいた素晴らしいロケーション!……だと思っていたら本当はそんな所は無く、映像マジックでした、と監督談。台北近辺でこの条件に合う場所が見つからなかったんだとか。

『きみはいい子』

『バトルヒート』
※想像を遥かに超えるトニー・ジャーのアイドル映画。
スーツを着て闘うトニー・ジャー、革ジャンを決めるトニー・ジャー、タイのゴーゴーバーでポールダンスを踊る女の子達が背景となるトニー・ジャー、ドルフ・ラングレンの周りをくるくる回るトニー・ジャー……! そしてまさかのチュー♡までもが!
この作品はアメリカ/タイの合作映画で、エカチャイ・ウアクロンタム監督作。
ロン・パールマン様がセルビア系マフィアのボスで御出演されているのもウキウキ。
因みに十把一絡げな邦題ですが原題は『SKINTRADE』という人身売買を意味する言葉。
『バトルヒート』はバディ物というよりもトニー・ジャーを如何にアイドルとして撮るかという、ドルフ・ラングレンが彼に対する萌えっぷりを眺める映画です(本作はドルフが脚本も書いております)。
コスプレやドルフの周りをくるくる回るトニー・ジャーとかよく解ってるわぁ。ドルフ、素晴らしい!

『八仙飯店之人肉饅頭』
※一家絞め上げ惨殺シーンに於いての子供ギャン泣きシーンは最初は見るからにお芝居をしてるのだけど、途中からちっちゃい子2人位はマジ泣きして引きつって汗びっしょりになってたね!……という部分も『八仙飯店之人肉饅頭』の見所。
血糊が多ければグロくなるかといったらそういう訳ではなく、本当のエグさは刑務所に入ってからが本領発揮、というのを教えてくれたのが『八仙飯店之人肉饅頭』。
スクリーンで観るとハンディカメラのスピード感や構図の格好良さ(ex.アンソニー・ウォンさんの巨乳を煽り構図で撮影)が桁違いに楽しい事が再確認出来たのでした。やはりTV画面とスクリーンでの鑑賞って受け止め方が違うのですよ。

『エボラ・シンドローム〜悪魔の殺人ウィルス〜』
※人生の大抵の物事は『RIKI-OH/力王』だの『エボラ・シンドローム』で語れると言ってしまう私ですが、ヒューマントラストシネマ渋谷で上映した『エボラ・シンドローム』は画質も発色も結構綺麗な上に粗口(広東語のFワード的な物)やシモ関係ネタもノリノリで訳して下さってるので、嘗て発売されたDVDを観た人達も更に楽したと思います。
時代を経ても酷さがブレないという、鬼畜映画界のお手本的作品。
アフリカのあの村に豚肉を買いに行った際に屍体に掛けられた布を捲る背後にガゼル一匹丸々吊るされている事が実は何度観ても衝撃的なシーンに感じてしまう私。
豚でも牛でも鷄でも羊でもなくガゼル! これぞアフリカの神秘!

『タクシーハンター』
『野火』
『インターセプション 盗聴戦』

『天空の蜂』
※ものっすごいボリューム、しかもその大半を原発を始めとした説明に費やしている原作をここまでの盛り上がりのあるエンタメ、しかも熱血中年映画に仕上がっていたという面白さ。
実は原作を「くどくどとウンチクが長すぎて全然展開が進まないじゃん、この小説……。」と、それが肝なのにも関わらず身も蓋もない事を思いながら読んでいたのですが、前半の掴みまでどころかストーリー展開に関わる必要最低限だけを残し、過剰なウンチクをズバッ!と省いてしまった潔さによりメリハリのある展開になっていたので個人的にはストレス無く気持良く鑑賞。
しかも前半の主人公とも言える少年が原作とは兄弟が逆で、それを上手く機能させるという整理の仕方。
随所にそっと散ればめられた「○○っぽい!」というのを楽しんで鑑賞した反面、子供にとってのヒーローとなった自衛隊の使い方がとても良かったので『ゴジラ』や『ガメラ』などの怪獣映画を上手く撮れる監督の作品として観てみたかった、というのが本音だったり。
1995年の小説の為、当然原作には無い「現在」のエピソードを足して繋げた事により、今ではちょっと古くなった部分もあるであろう事を上手く解消出来たのではないかと。こういう気の利かせ方は好感が持てるのでした。

『若さは向こう見ず』
※縁あって2回鑑賞し、おかわりの時には曲も覚えたので初見時よりも遥かに楽しく至福の161分となりました。
歌と踊りが彩り華やかで可愛く、ごく一部を除いて幸せなシーンに関しての比喩、そして超ハッピーな締めなので笑顔のまま帰れるという。地に足着いた話とはいえ前半後半、人物など対比が散りばめている巧みさ。

『黒衣の刺客』
※すげえ! 素晴らしい! 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)なのに未だ嘗て無い位にこんなにもエンタメ感溢れるとは思わず!というのが何よりも一番の衝撃。……という事をほうちゃん映画を未見の人は真に受けてはいけない気がしますが、そう言わずにはおれないの映画なのです。
余りの美しさに降参。実は侯孝賢作品というよりも李屏賓(リー・ピンビン)作品として楽しんでしまった私。
今回はいつもの空気を捉える撮影というよりも風を撮り、屋内にいても屋外で何が起きているのかすら解るようにカメラに収まっているという。衣擦れと装飾品の音がここまで響くアクションになるとは。
室内では相変わらずの固定カメラにも関わらず、奥行きを捉え、人物移動によりその室内の構造が把握出来るという楽しさも健在。その室内の美麗さをスクリーンで堪能出来たのは至福の極み。
とにかく感動したのは李屏賓のカメラによる色彩の捉え方。あんなにも多彩な赤をひとつひとつ際立たせ、玉虫色の絹のコントラストを撮り、そして農村の藁葺き屋根ですら豊かな色々が重なり醸し出した物に見せてしまったという。
気にしつつ観ていたものの、やはりスタンダードとビスタのサイズ違いのルールが日本で撮影した箇所か否かしか解らず。
ところが。何故にそうしたのであろうかという謎だった事が後日フィルメックスで登壇した監督のトークにより判明。
簡単な話、「そのシーンの画面作りに合った画面サイズで撮っただけのこと。サイズにこだわる必要はない」(※記憶力が悪い為に私の超意訳)とのことでした。
ついでなので鑑賞しながらカット数を数えていたところ、130〜140カット(数え忘れの誤差がこの位)で、意外と割っていたという。
『黒衣の刺客』の美術設定書『唐 風尚』にはパンフにも無かった妻夫木くんと汐里ちゃん演じるキャラの詳細及び時代背景がしっかり書かれており、例によってどれだけ撮影してカットしてしまったのかと……。
それにしても妻夫木くんと舒淇(スー・チー)が出会うアクションシーンは見事な亜熱帯植物、次には白樺林が登場するという、画面サイズに拘らない以上の型破りさも超面白かったね!
因みに『黒衣の刺客』の美術設定と『拜訪刺客唐傳奇』の絵本のセット『刺客聶隱娘 電影美術世界』を台湾から買って来て頂きました。
じっくり見たかった美術が写真となり大量に載っているので数ページでも大満足の本。
刺客聶隱娘 電影美術世界


『岸辺の旅』

『バクマン。』
※胃が…つら……い。非常に面白い作品だったのですが、やはりつらい。
神木きゅんとたけるんのキャッキャッ♪よりも胃の痛さが上回ってしまったけど、こういう作品はとにかく配役で決まる部分もあるのでそこに関しては本当に完璧。
あと嘗てバイトしていた他社の大手出版社の週刊誌編集部とジャンプってやっぱり別物なんだなぁ、という点にも興味津々の出来でした。

『心が叫びたがってるんだ。』
※初っ端からやられてしまった……。
しかし何故にこれをアイドル達を使って実写で撮ることが出来ないのだ、邦画は……と言ってしまっては終わりなのですが。
限りなく近い存在なのが『幕が上がる』(こちらも傑作)。
アニメ化した最大の利点はモノローグの嫌味の無さ。
ここ暫く劇場用アニメを御無沙汰していた為にふと気付いたことだったのですが、やはりアニメって台詞量がすごく多い。
そしてちょっとした文法の違いで実写だと臭くなる台詞でも非常に効果的に心に響いてくるという事。ファンタジー表現的な妄想もとても自然。やはりアニメで作った意味があった作品。

『カンフー・ジャングル』
※かつて繁栄したカンフー映画に敬愛の意を込め、多彩なる出演者を登場させたこの映画は本編もエンドロールも胸いっぱいになり過ぎて呼吸が整わず寝込みそう……。
アクションシーンでの私の許容量オーバーという久々の体験。
シーン毎、アクション毎にコマを止めて語らねばならない程の密度の高さ。
アクションの技術に圧倒されてそちらにばかり目が行きがちですが、実はカメラワークやシチュエーションのバリエーション、そして美しさもハイレベル。陳德森(テディ・チャン)はとんでもないアクション映画を撮ってしまったものだ。

『GONIN サーガ』

『尚衣院 サンイウォン』
※オートクチュール界のドロドロと大奥及び殿中のドロドロと天才肌ニューウェーブvs努力型職人と男同士の愛憎と超ロマンスが見事に融和していて惚れ惚れする面白さ。
鑑賞前はよくある韓国時代劇のリズムかと思いきや、かなりのポップさもとても観やすくて楽しい気分にさせる一因。
そしてドンソクたん!ドンソクたん!超かわゆ!と言いたくなるマ・ドンソクによるファッションショーもサービス抜群なのでした。

『マルガリータで乾杯を!』
『恋人たち』

『俺物語!!』
※鈴木亮平くん演じる猛男を愛でる程度の気持ちで観始めたら気付くと号泣している私が……!
正直な話、少女漫画の古典ラブコメの使い古した……どころではなく骨組みまんまなストーリーなのにも関わらず、キャラによりこんなにも新しくなるとは。
そしてメインの登場人物全てが優しいのも可愛い部分。
『俺物語!!』の何が一番基本的なツボを押さえているかといったら、冒頭の中学校の卒業式。
どこをどう見てもリアル中学校男子らのエキストラに囲まれる学ラン姿の鈴木亮平という、この新世代のプログラムピクチャー感、これだけでも私は好きと言えるのであった。

『杉原千畝 スギハラチウネ』

『図書館戦争 -THE LAST MISSION-』
※解っていつつも岡田君がとんでもない事になっていた。
本当に出来る人に近接格闘術をさせ、そこに見映えも足している為に楽しい事この上ない。
基本的に狭い空間で関節・打撃・投げを行なっている為に壁の使い方が多様、と見応え抜群。なんと素晴らしく贅沢な岡田君の使い方をしているのだ。

『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』
※前半で完全に観客である若い親達を泣かせ、後半でメインとなる派手演出に持って行くのですが、去年の劇場版もこの構成だったのかしら……?(未見) そしてナビゲーター役のウィスパーが前作でもあの役だったのかしら?
例えば『エボラ・シンドローム』と同じで、気を抜く前にサービスを盛り、わんこそば状態にする作品って本当に凄い。
しかしゲスト声優が完全に親へのサービスで笑ってしまう。
そして『妖怪ウォッチ』本編前も抜かりはなく、当然妖怪ウォッチの新商品CMが流れるので、その時点で子供達のテンションが上がるわけですが、隣の席の子連れのお父さんが「えっ…これも買う…の……?」と震え声で発した様子が忘れられず。お子様ビジネスって本当に怖い!

『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』
※まさか人生を映画館のスクリーンで観る日が来るとは思わなかったね!
そして最後の『N.O.』では鼻の奥がツーン!としてじんわり。
しかしまりんは今も変わらずでかわいい……。
全アルバムを網羅する非常に丁寧な作品なので、初心者からコアなファンまで楽しめる作り。

『孤高の遠吠』
※クズの言動とヤクザな行為の多彩なバリエーションを目撃出来る作品。
しかも静岡の不良たちの生々しさが全編を包む緊張感に加担。
彼ら各々の中での道理はきちんと通っている理屈や言動の怖さと居心地の悪さ、それが身に降りかかるのならば嫌悪でしかないが、作品になると驚愕という喜びに。
いわゆるインディーズ作品なのですが、むしろそれが功を奏して生々しくリアルな静岡の不良を撮れたという奇跡の作品。
それで2時間以上があっという間に過ぎてしまい、ドキュメンタリーでもないのに、こんなに生々しい彼らの生態を描いた作品は未だかつて観たことがないので、やはり破格の不良映画としか言いようがないのでした。
『狂い咲きサンダーロード』との2本立てとか是非観てみたいね。


最後は【2015年 面白かった映画 特集上映&映画祭編】です。

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